Hatena::Groupkill

イン殺 RSSフィード

2008-02-16

[]『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(ティム・バートン) 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(ティム・バートン) - イン殺 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(ティム・バートン) - イン殺

「あらすじ。
美人の妻と乳飲み子の娘を持つ凄腕美容師ベンジャミン・バーカーは妻に横恋慕した変態判事に無実の罪を着せられ 15 年間流刑に処されました。今! そして今! スウィーニー・トッドと名を変えたベンジャミンがロンドンに降り立つ! ロンドンよ、わたしは帰って来た! 復讐するは我にあり! とかそういう話。」

「そもそもティム・バートン作品をそれほど追いかけているわけではない自分がこの映画に注目した理由は、吉梨さんのこの感想を見かけたためです。」

はじめに断っておきますと、これは海賊映画が好きな人が見る映画じゃないです。パク・チャヌク作品を見て爆笑した人こそ見るべき映画です。復讐って、本当に素晴らしいですね。バッドエンドって最高ですよね。そんなふうに思える人は何があっても見るべき。

映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』 - 新版Kizurizm

「『オールド・ボーイ』*1『親切なクムジャさん』*2で見事な狂人描写を見せたパク監督と同じタイプのスタンド使いと聞いては辛抱なりません。というわけで以下ネタバレ感想。」


「復讐の楽しさの半分は計画にある。けだし名言であります。しかし復讐の当人がそれを言われているという微妙なズレ。そこがこの作品の非常に惜しいところです。復讐ものとしては画竜点睛を欠きます。陰湿さに欠けるといいますか、湿度が低いといいますか。」

「この話のストーリーラインはよく練られていると思うんですよ。絵に書いたような復讐鬼。分かりやすい悪役(ロリコン)と分かりやすい手下。狂人をサポートする別の種類の狂人。復讐に囚われた男がつい忘れてしまう家族のこと。すれ違いゆえの悲劇。復讐は何も生み出さない!
しかしながら、狂人描写でもっとも大切なものは細部です。なぜなら狂人は限りなく細部にこだわるからです。
例えば、本作でもっともスキャンダラスな殺人理髪師 & 人肉ミートパイのコンボ。この細部に関する描写に今ひとつ執着が感じられないのが気になりました。」

  • なぜ判事を殺る手段として剃刀にこだわるのかがいまいち不明。
    • 理髪師のプライド? だとすると職場で殺るのはどうなのか。
  • 死体からミートパイを作るときに骨とか皮とか髪はどう処理するのか。
    • 機械を見る限り肉も爪もまとめて挽いているように見えますが、いくらなんでもそりゃまずいでしょ。二重の意味で。
    • それとも燃料? その方が黒煙の説明になるかも。
  • あと細かいことを言うと、使わない銀器は変色すると思います。「心変わりを連想させるから引き出物に銀器を選んではいけない」ってばっちゃが言ってた。

「トッド氏の動機については吉梨さんもツッコんでおられます。」

さて、本作で一番理解できないのが判事殺しに失敗したトッドが客をなぜか殺しだすかなんですね。復讐とまったく関係ないだろとツッコまざるをえない。夫人が死体をパイにするのも狂っていますが、これにはカネがないしトッドの気を引きたいという一応の動機付けはあるんですよ。でもトッドがなんで客の喉を斬りさくのかが謎。いやいやいや、その答えは実にシンプルなんですよ。

「そっか、この人狂っているんだ!」

この考えがピコーンと浮かんだ瞬間から、凄く爽快な映画に見え始めましたね。大スクリーンで狂人を見られる爽快感ったらありませんよ。これは『パフューム』以来の感覚ですね。

映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』 - 新版Kizurizm

「いちおう作中で"判事を殺るまでそこらへんの奴らで練習する!"みたいな言い訳はあったと思います。まあその理屈はその理屈でおかしいのでトッド氏が狂っていることは確実なんですが。
結局のところ"狂人だから"と言ってしまうと物語の大半はこじつけられてしまうので、逆に根っこの部分以外はものすごく理論的に進めるべきで、そういう姿勢が狂人を描く上では重要なんです。観客に"この狂人はこういう理屈で動いていてだね"と補完させるのはよろしくない。"狂人のくせにそんなところまで考えて!"と驚かせるのが正しいのです。いや多分。」

「ティム・バートンらしさ、という観点では、自分にはあまり語るべきことはありません。異形の者ゆえの悲しみとかでしょうか。そういった繊細さは今回『チャーリーとチョコレート工場』以上に薄かったですね。だってトッドさんの"はーいおっちゃんスパスパ殺っちゃうよー、ミートパイ喰ってますかーッ!"っぷりといったら"しまっちゃうおじさん"級ですよ。まあみんな大好き『マーズ・アタック!』に繊細さなどというものがあるのかと言われると微妙なので、おそらくティム・バートンらしさというものには相応のゆらぎがあるんでしょう。個人的にはラヴェット夫人が"海辺の家に住みたいの"と数分間に渡って死亡フラグを歌い上げるシーンにはなかなか優れた諧謔があったと思います。ボーダーの水着のトッドさんの"なんや知らんけど海辺に住みたきゃ住めばええやん、それよりおっちゃん今日もどんどん殺っちゃうよー、 SATSUGAI は一日休むと取り戻すのに三日かかるからねー"的な表情が何とも言えないですね。」

s.s.ファンs.s.ファン2008/02/20 01:00これはもともとミュージカルというかホラーオペレッタで、オペラと同じような感覚で見るようなものを映画化しているので(ミミとか椿姫とか魔笛とか、突っ込みどころは満載ですけど、歌の素晴らしさでそれらは気になりませんから)このように理詰めでない違和感がでてしまうのかもしれません・・・個人的にはコンサート版をお勧めしたいところです^^。

トラックバック - http://kill.g.hatena.ne.jp/xx-internet/20080216