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2008-02-27

[]『3月のライオン』(羽海野チカ、白泉社 JETS COMICS) 『3月のライオン』(羽海野チカ、白泉社 JETS COMICS) - イン殺 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『3月のライオン』(羽海野チカ、白泉社 JETS COMICS) - イン殺

3月のライオン (1) (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン (1) (ヤングアニマルコミックス)

「悪意で営める職業(id:xx-internet:20071009:p1)でほんのちょっとだけ引き合いに出した将棋漫画。その点から推測していただけると話が早いんですが、個人的には"悪意"とか"殺意"といった方面からこの漫画に注目してたりします。いや、唐揚げ食べたりお盆にごちそう作ったりするほのぼの描写も好きなんですけどね。」

「どのへんが悪意なんですか」「いちからか? いちからせつめいしないとだめか?」

「じゃ一から説明するよ。
幼少の頃、家族を交通事故で軒並み失ってしまった桐山零少年は、父の友人だったプロ棋士に引き取られました。新しい家の子たちは将棋が大好きなお父さんに好かれるために一生懸命将棋を勉強していました。零くんも義理のお父さんは大好きだったので、将棋が強くなるように必死で勉強しました。」
「ほうほう。」
「やがて零くんは家の子たちよりブッちぎりに強くなりました。彼には才能があったのです。」
「ほほう。」
「人はみな隠れた才能を一つは持っているもので、勉強なんてできなくてバカにされっぱなしの子がふとマーシャルアーツを習ってみたらメキメキと上達し、気づいたらヒクソン・グレーシーをボコにしていたりします。そう西原理恵子先生が『むいむい』で言ってました。ことほどさように願望と才能は全くの別問題であります。かくして零くんは、家の子たちからものすごい敵意を向けられるようになりました。それが居たたまれなくて、零くんは更に将棋を勉強するようになり、気づいたら中二のときに三段になっていました。」
「ほおお。」
「やがて零くんは自立を決意するようになりました。その家で暮らし続けることは、義理の父も、義理の姉も、義理の弟も、そして自分も不幸にすると思ったからです。そして『3月のライオン』の第一話。家を出た零くんは義理の父と対局します。"一手一手、まるで素手で殴ってるような感触"を覚えつつ、天才棋士・零くんは将棋を指しました。」
「…… SATSUGAI しちゃったの?」
SATSUGAI しちゃったんだねえ。」
「義理の父親は好きなんだよね?」
もお超デレデレ。昔もらったお下がりのカーディガンを自分で繕って"まだ着られる"って言ってるくらい好き。」
「それはファックでございますね。」
「大変にエッジかつイルでございます。」

3月のライオン』と『DMC』『ホーリーランド』の類似性及びヤングアニマルの空気に関する一考察、及び零くんは今後何と戦っていくのか問題

「憎いわけでも嫌われたいわけでもないのに、その道を選んでしまったがゆえに、どうしようもなく殺さざるを得ない苦悩。かねてからヤングアニマルを愛読しているわたくしは、このテーマにとても見覚えがあります。そう、『デトロイト・メタル・シテイ』のクラウザーさん、及び『ホーリーランド』のユウ君です。彼らも愛する誰かを傷つけずには生きてゆかれない人種です。そういった観点で見ると、雑誌から浮いていると揶揄されがちな『3月のライオン』ですが、意外とヤングアニマルらしいフィスト or ファックなテーマを描いているのかもしれません*1。雑誌のカラーというものは恐ろしい。さながら八神健先生がチャンピオン RED の空気を読んだ結果のように。」

「今後のストーリーについては、三姉妹とのほのぼのシーンが手段なのか目的なのかによって期待するポイントが変わってきます。後でまとめて叩き壊すために積み木を積んでいるのか、それとも普通に積み木が好きなのか。『ハチクロ』は 2 巻くらいまでしか読んでいないのでそこらへんの勘所が分かりません。巷の評判を聞く限り後者のように思えますが、だからこそ敢えて行く、という選択肢もアリだと思う。だってこれは『ベルセルク』と一緒の雑誌に載ってる漫画ですからね。」

「壊すにしても壊し方というものはあって、不可逆な喪失にしてしまうか、ストーリーを回すためのヤマとして設定するのかで読み手に与える効果はかなり違ってきます。例えば、既に上達へのモチベーションを失いつつある零くんの"戦う動機"と三姉妹を関連付ける、という手もあります。ベタな発想だと、三姉妹の誰かが難病に罹ったので治療費を捻出するために竜王戦で優勝する必要があるとか。そのあたりの方向性が見えてくるまで『3月のライオン』には注目していきたいです。
ただ、 1 巻のはしばしに登場するトラウマ描写を見ると、やはり殺意方面でも期待は持っていいような気がしています。なので、もし羽海野先生がやる人だったら、みんなで嬉々として「ついにやったか!」って言いましょう。……やるかなあ。まさかな、いやひょっとして……。」

*1:まあヤングアニマルの単行本でこんな白い表紙は滅多に見ませんけどね。近所の書店では『3月のライオン』だけ青年漫画コーナーではなく少女漫画コーナーにぽつんと置かれていたので可哀想でした。ちゃんと『DMC』とか『ホーリーランド』と並べて売ってあげてください。

mokemoke2008/02/29 20:44この発想はなかった。。。

秋2008/03/04 05:26大変エキサイティングしたのでリスペクトします。

llllllllllllll2008/03/06 13:33ハチクロでは積み上げるだけ積み上げた後に、ジェンガのように土台のほうから積み木を(しかもものすごい速度で)抜いていくというSATSUGAI具合を見せてくれました。
しかも崩れる寸前で話を纏めやがりましてもうほんとウミノ先生の外道具合は並外れてるぜウェーッハッハハ。