Hatena::Groupkill

イン殺 RSSフィード

2008-03-19

[]福満しげゆき『生活(1)』 15 分感想 福満しげゆき『生活(1)』 15 分感想 - イン殺 を含むブックマーク はてなブックマーク - 福満しげゆき『生活(1)』 15 分感想 - イン殺

生活1

生活1

「あらすじ。この漫画には金槌で人を殴るおじさんが登場します。おじさんは町の治安に不安を覚える善良な小市民であり、近頃家の近くに変質者が現れることにたいへん心を痛めています。家族が心配なおじさんはカーテンレールの余りを使って、袖の内側にスライド式の金槌を仕込むツールを DIY します。よくスパイが小型の拳銃を仕込むアレ。そしておじさんは街を自主的に警備しはじめ、コンビニの前で座り込んでいる不審な若者たちを金槌で DIY したりします。」

「おじさんが DIY せざるを得ない心理は小市民には非常に理解しやすいものです。なぜならコンビニの前に座り込んで騒いでいる若者や、カラオケから出てきたコンパ帰りの学生集団や、夜中に大きな爆音を撒き散らしながら公道を駆け抜けてゆく暴走族というものは、小さな生活を愛する人々にはなんとなく脅威として映るからです。金槌おじさんという設定はその不安を具現化した、大変秀逸なアイディアだと思います。」

「おじさんは日々 DIY を繰り返した結果、金槌の扱いにどんどん長けてゆきます。むこうずね、腰の横の骨が出っ張ったところ、顎。そういった箇所を金槌で殴ると非常にいいダメージが入ります。大抵の人は金槌で二三発殴られると KO されてしまいます。『ホーリーランド』のバトルシーンとは全く異なる、あっけない一撃必殺の恐ろしさがそこにはあります。」

「おじさんは小市民なので、己が為している DIY に対しては少なからず反省しています。」

家族に危害が加えられるかも…と不安になったからって
自分から殴りに行っちゃうなんて……
やっぱりどー考えてもおかしいよね
まあ…
たしかに……
歯止めがきかなくなっていたのかもしれないな……

「反省するくらいなら最初からやるなや。おじさんの小市民っぷりにはなんかこう、金槌で殴りつけたくなるような愛らしさを感じます。」

「福満しげゆき先生の絵柄は、こうしたおじさんの枯れっぷりと生活への不安を体現した、良い意味でいじけ、ねじくれた、貧相な画面であり、読んでいるとだんだん生活が不安になってきます。誰しも家の近くに狂人の一人や二人はいるものです。我々の生活も、いつ福満しげゆき画風に変化し、隣に座っているおじさんに金槌で殴られないとも限らないのです。」

「恐ろしいことに『生活』は続き物であるのですが、残念ながら金槌おじさんはこの巻で退場してしまいます。そのため、次巻以降を買うかどうかは流動的です。しかしながら、金槌おじさんというアイディアを生んだ福満先生には更なる狂人プロセッサーとしての役割が期待されます。サンデーで言うと『金剛番長』くらい、チャンピオン RED で言うと掲載作ほぼ全てくらいの期待度です。きっと生活感に溢れた器の小さい気違いが登場するに違いありません。」

「では、まとめを。」
まとめ。そうねえ。"金槌を持った人間には全てが釘に見える"ということしかないんじゃないの。」
「そうですね。」

参考

トラックバック - http://kill.g.hatena.ne.jp/xx-internet/20080319