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2009-02-27

[][]『フランケン・ふらん(3)』(木々津克久、秋田書店チャンピオン RED コミックス) 『フランケン・ふらん(3)』(木々津克久、秋田書店チャンピオン RED コミックス) - イン殺 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『フランケン・ふらん(3)』(木々津克久、秋田書店チャンピオン RED コミックス) - イン殺

フランケン・ふらん 3 (チャンピオンREDコミックス)

フランケン・ふらん 3 (チャンピオンREDコミックス)

「なんという釣り表紙。
もちろんチャンピオン RED 誌上で全部読んでますが*1、単行本を読み返して感じ入るところがあったので。」

「『フランケン・ふらん』は簡単に言うと、多少のオーバーテクノロジーと若干のグロとごく僅かの萌えが含まれるスーパー系医療漫画です。もちろん『ブラック・ジャック』などの過去の作品を意識しており、 2 巻では割とあからさまなパロディが描かれていたりします。」

「この作品のいいところは、どうしても深刻かついい話が多くなる医療系ストーリーに軒並み厭な仮定を加える点で、元ネタを否定するつもりはないのかもしれませんが、結果的に文字通り解体的な話になってしまうところ。とにかく「あなたたちのその感動って、この仮定の下でも成り立つんですか?」という話が満載で、「木々津先生、『ヘレンesp』を描いてるときはおとなしいのに……」と大変玄妙な気分になります。」

「以前『フランケン・ふらん』について「人の命を何とも思っていない」と書きましたが、より正確には「人を人としか思ってない」じゃないかと考え直しました。ふらんが患者に対して取る態度というのは、霊長類ヒト科ホモサピエンスの実験動物に対するそれなんですよね。一応相手に対してそれなりの礼儀は見せるし、本人の意思を尊重することにかけてはとてもインフォームドにコンセントなんですが、手加減というブレーキが致命的に壊れているのでオーバーテクノロジーは人体をあますところなく変革して止まず、ついでに精神も引きずられて地獄に落ちるといいますか。なんとなく作者はニーチェとか大好きなタイプじゃないかと想像しています。その点は『銃夢』と若干共通するかもしれません。」

「 1 巻でふらんが学校に行く話が好きなんですが、そこではふらんちゃんが簡単な整形出術をクラスメートに施したことを発端に、生徒たちがどんどん整形や肉体改造に走り、結果的に一つの高校が丸々フリークスの集団になってしまったりします。実に良い個性 2.0 。エクストリーム・自分探し! 通学路で犬が狂ったように生徒たちへ吠えかかっているところなんか特に好きです。」

「この本人の希望なら何をやってもいい、契約を守っていれば何をやってもいい、互いに納得さえしていればそれは医療行為である、といった完全に善悪回路が止まった思想は 3 巻でも全開で、それがいい意味でも悪い意味でも激しく発揮されているのがアドレアさんの回であると思います。
未読の方のために説明すると、表紙にも登場している長髪包帯、全身チャックの美人がアドレアさんです。チャック以外はとてもスタンダードな萌えキャラですが、チャックがね……。」

「アドレアさん回のあらすじ。
医者に恨みを持つテロリストにふらん一行が襲撃され、テロリストを含めた全員が落盤したトンネルに閉じ込められます。テロリストの中には臓器を損傷する大怪我を負ったものもおり、ふらんは彼らに臓器移植を提案します。
どこに代わりの臓器があるのかといぶかるテロリストたちの前にアドレアさんが進み出て、包帯を取りチャックを見せます。アドレアさんは体内に複数の内臓を保管する、生きた臓器倉庫だったのです。ふらんちゃん曰く「出し入れしやすいようチャックにしたんだけどね」とのこと。
やむを得ず移植を受けるテロリストたち。さらなる落盤事故。減ってゆくアドレアさんの体積。やがて、テロリストたちは自らの行いを反省しはじめます。」

「命をねらった側のオレ達に手をつくしてくれた」
「あのアドレアさんは自分の体まで差し出してオレ達を……、あの人は天使だ!」
「オレは恥ずかしい!! オレ達は一部を知って悪と決め付けていたんだ!!」

「そこで終わっておけばいい話なのに……。
医療崩壊を遠回しに DIS りつつも、手加減する気はさらさらない木々津先生にはしびれます。しびれて気が遠くなって熱が出ます。木々津先生はいったい何と戦っているのか、という慣用句を捧げるしかありません。
あと、カバー裏漫画は毎回更にひと仕事しているというか、ただでさえ台無しな本編を余計台無しにする断片が含まれているので必見。『ネウロ』風に言うなら、頭蓋骨を突き抜けた木々津先生の悪意はカバー裏にこそその先端を見せていると思います。」

*1:正義のヒーローの話はよかったですね。

hatikadukihatikaduki2009/02/28 23:35いや、『ヘレンesp』も大概じゃないですか?花の妖精の話とか、空を飛ぶ人がいない理由とか。特に後者。

hanhanshanhans2009/03/01 01:23>いや、『ヘレンesp』も大概じゃないですか?
今からアマゾンのカートに入れてくる。

祇尾祇尾2009/03/01 18:45>いや、『ヘレンesp』も大概じゃないですか?
いや、あのぐらいならまだヘレンが散さま仰るところの「『カラスは黒い』という命題をくつがえすには何千何万何億の中にたった一羽白い翼のものがいればよい!」 なのので大丈夫じゃないでしょうか。ふらん世界の住人は元から真っ黒か黒く染まっていく人たちばっかりですし。

xx-internetxx-internet2009/03/02 07:14「空を飛ぶ人がいない理由」が思い出せなかったので、単行本を買って読み返してみます。

木村木村2009/03/04 07:58その話は単行本未収録です。2巻をお待ちください。
1巻のおまけマンガはふらんとヘレンの世界観の違いが端的に描かれてて興味深いですね。

通り過ぎ通り過ぎ2009/03/04 17:06フランは投げっぱなしジャーマンみたいな漫画だと思っていたのが、一回地面においてから、投げっぱなしている漫画だと再認識しました。

xx-internetxx-internet2010/08/11 08:27二巻読みましたよ。なるほど、空を飛ぶ人がいないわけです。
しかし先月のふらんちゃんの V3 話に比べれば可愛いものじゃないでしょうか。あんな激しい変態は久しぶりに見ました。

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