2009-03-07
■ [読書]『鼠と竜のゲーム』(コードウェイナー・スミス、ハヤカワ文庫)

鼠と竜のゲーム―人類補完機構 (ハヤカワ文庫 SF 471)
- 作者: コードウェイナー・スミス,伊藤典夫,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1982/04
- メディア: 文庫
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「毎度おなじみ、今さらこんなメジャーなの読んでんのシリーズ。」
「人類補完機構シリーズの解説が序文にあり、ついでに末尾にコードウェイナー・スミス入門があるという親切設計。おかげで世界観の異様さに面食らうことなく読み進められたのかな。それを抜きにしても、ハード SF っぽい作品の中では異様に読みやすいように思われます。」
「未来からの訪問者が書いたような小説、という評価があるそうです*1。そう言われると個人的には先進的なフィーチャーごてごての設定満艦飾、かつキャラクターをあまり描かない作品を幻視してしまうんですが、『鼠と竜のゲーム』に収められた話は人間味がない小説というより、むしろ人間味に興味ありありな小説であると読みました。突拍子もない、それこそ直接未来を覗いたようなモチーフに溢れていながら、妙に読みやすいのはそのせいだと思います。コードウェイナー・スミスは人間大好きっ子だったんじゃないかな。」
「シチュエーションは確かに特異で、そこでは社会システムやそれに伴う倫理観が一変しており、登場人物はおよそ一切の流派に聞いたことも見たこともない奇怪な状況におかれます。ただ、その異なる前提の中でも、やはり作品が見ている方向はそこでのたうちまわる人間の人間らしさといいますか、人を人たらしめる要因というもののような気がしました。発現形態を大きく変えていても、そこで扱われているのはやっぱり感情論なんですよね。おさえきれない個人の欲と社会のルールがぶつかったとき、その折り合いをどうやってつけるかという。おまえら一万年と二千年経ってもそれか、という気はしなくもありませんが、"人は不完全だから面白い"、古田織部もそう言っている*2。」
「素晴らしいしゃっ面でござる。」
「さておき、個別の作品について。もちろんネタバレを含みます。」
スキャナーに生きがいはない
「人間としか言いようがない話。ときどき人間に戻るサイボーグが、たまたま人間に戻っている最中にサイボーグ集団の存在を脅かす者を私刑にかける会議に呼ばれ、たまたま人間であったがゆえにそれに反発し、彼を救うためにサイボーグ集団を裏切り、仲間を手にかけて彼を守り、そして気づいたらサイボーグたちは手術されて人間に戻されていた。同時に主人公は人として仲間を手にかけた罪を背負いました、という。」
「あからさまに感情論ですよね。なにか作者は感情論を出してはいけないお仕事に日々忙殺されていたんじゃないかと邪推したくなるほどに。感情論が死に絶えた団体の中にそれを置いて引き立たせているところがまた人間臭さを引き立てていて、敢えて褒め言葉として言いますが、実にエモい。」
星の海に魂の帆をかけた女
「これを見て「ディテールにこだわった大層ベタな話を書く人だなあ」と認識しました。親の名声とか、容姿とか、学歴とか、運命の恋とか、余人のコンプレックスにジャンクションするツッコミどころが山のように出てきます。文体と時事ネタをいじれば立派にケータイ小説として通用するんじゃないでしょうか。そういう話で人の心にさざなみを立てさせたい、という欲望には、大変勝手ながら満腔の共感を覚えます。実は同じようなネタを隠し持っていたことをここで告白しておきます。」
鼠と竜のゲーム
「確かにこれは凄い短篇。世界設定のスケールがでかくて、ビジュアルイメージが鮮烈で、宇宙に進出した人類と"敵"の戦いという未来史をヴィジョンさせて、能力を持った選ばれた戦士たちが一般人に蔑まれ、なおかつ可愛い猫が精神レベルで主人公にデレデレ。時間と空間と選民意識と萌えがわずか 26 ページに満ちている。『夏への扉』が願望充足小説として叩かれることがよくありますが、この話も大概だと思います。」
燃える脳
「この話の中で一番面白い人はドロレス・オーなので、是非スピンオフを作るべきだと思います。鼻持ちならない自意識。美貌を褒められることに飽きて"ほんとうのわたし"を見てくれる人を探しはじめる思い上がり。そして一瞬のうちに年老いて老醜を晒しつくす無残さ。この王の姓を持つクソ女郎がもっと活躍する様が見たい。」
スズダル中佐の犯罪と栄光
「強力な鬼と強力な猫を宇宙空間に創造して投げっぱなして"これは読んではならぬ物語"メソッドで締めるという、極めて神話的なお話。シェアード・ワールド?」
黄金の船が――おお! おお! おお!
「クトゥルフ神話かと思った。それ以外はあまり目立たない話だと思いますが、快楽中枢に電極をつないで二十時間ぶっつづけでハマりっぱなし、という描写はいいですね。」
ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち
「タイトルの訳がよい。」
「『マップス』愛蔵版を読み進めたおかげで、二言目には"生贄砲"っていいたくなる人の気持ちが分かってきました。生命体が持つ意志とか感情とかを物理的に数値化して便利に使うアイディアとして引き合いに出しやすすぎるんですね、わかります。生き物は何のために生きているのか。便利だからだよ!」
アルファ・ラルファ大通り
「むしろ苦しいことが恋しくて娑婆世界を歩いている、というアイディアは『杜子春』にも出てきたことを連想しました。」
■ [雑記][漫画]替え歌鉱脈 s/好き/数寄/g

- 「板垣先生、打ち合わせと違うじゃないですか〜〜〜ッッッッ!」なんという逆サルまん。
- 編集者が猫ではなく虎であると仮定すると、打ち合わせどおりなのに敢えてあのアオリを付けたという解釈が生まれる。その場合、見栄っ張りな板垣先生はキャラ的に美味しいのでそのことを否定しないであろう。
- でもまあ、おそらく本当に人の話を聞いてないのだろうと思いますよ。聞く耳持たないずきんちゃんですからね。
- チャンピオンでは昔からよくあること。「お詫び - 何話から何話までの展開はなかったことにしてください」が通るのはチャンピオンだけ。
- 編集者が猫ではなく虎であると仮定すると、打ち合わせどおりなのに敢えてあのアオリを付けたという解釈が生まれる。その場合、見栄っ張りな板垣先生はキャラ的に美味しいのでそのことを否定しないであろう。
- 『マイティハート』はセイバーブラックとセイバーオレンジの決め台詞を出してから終わってほしかったな。
- メタブックマーク数の目安は、元ページのブックマーク数の 20 分の 1 なら多いくらい。
- google:"バットマン・ダメンズ"もgoogle:"バットマン・だめんず"もいわゆってなかったので久しぶりに勝った。
- Twitter 将棋ってないんだろうか。 @ のやりとりだけで進む目隠し将棋。
- 横から「その手は悪しゅうござる」と茶々が入る。
- 横から別の手で乱入され、樹形図のように広がりつづける対局風景。
- 既出だったらしい。 http://ryo.hayamin.com/idea/twit/4725
- 三方一両損の空気感について考えている。或いは大局的に大岡越前が一人勝ちである件について。
- 一両の金を失して万人をさとす。是等誠に、人をほめるエモさは、人をおさむるさばきなるべきにや。
- http://sinkan.net/ を使いはじめた。
- 作者名荒山徹のフォロワー 2 人。作者名深堀骨のフォロワー 1 人。
- 数寄数寄数寄数寄数寄っ数寄♪ あーいーしてー、るっ♪(チャーララッチャ) 数寄数寄数寄数寄数寄っ数寄♪ 利っ休ーさん♪
- 数っ寄っとっかっ♪ 気概とっかー♪ 最初にー言い出したのはー♪ だーれーなーのーかーしーらー♪ 駆け抜けてゆーく♪(駆け抜けてゆく) 宗匠の メモリアール♪
- 今日も鏡のまーえーでー♪ (私は関白様が宗二にしたことと同じことを…………!!)
- 飴色の肌は sweet magic♪ とっておきの茶入♪
- 千利休関係の本でも読んでみるか。
- 超越者のアバターとしての尻尾の長い猫、というモチーフの起源が気になる。『プラネテス』と『結界師』に共通しているが、互いに関連がなさそうに思える。
*1:ロバート・シルヴァーバーグの 1965 年の書評にあるとか
*2:『へうげもの(6)』第六十二席 "アナーキー in 日の本"にて。 isbn:9784063726725

http://www.google.co.jp/search?q=%90%94%8A%EF%82%C9%82%B5%82%C4%96%CD%8C^%81@%8DD%82%AB%82%C9%82%B5%82%C4%82%E0OK
「好きにしても OK 」は認識していて、森博嗣がやったのは「好き」を「数奇(すうき)」に置換して隠すという遊びですが、 xx がやりたいのはあらゆる歌の「好き」をへうげもの的な意味での「数寄」に片っ端から脳内置換して歌詞の中の誰かを軒並み宗匠面に変えて悦に入る遊びであって、まとめると世界人類が平和だといいですね。
私の読解力が足りなかったようですね。いやはや失礼致しました。