2010-02-17
■ [読書]『依頼人は死んだ』(若竹七海、文春文庫)

- 作者: 若竹七海
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/06
- メディア: 文庫
- クリック: 47回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
「桂木弥子は言いました。謎が生まれるためには知性と悪意と向上心が必要だと。しかしこれは狭義の謎と言えます。そこで想定されているのは単独の犯罪者が己の利益を最大化するために行う凶行であって、小さく偶発的な、いわゆる日常の謎はモデルの埒外にあります。まあ、そんなおやつはネウロの口には合わないかもしれませんが。」
「不可解が生まれるために知性と悪意と向上心がすべて必須というわけではありません。知性は偶然で置き換えられるし、向上心はあってもいいがなくてもいい。なぜなら現状維持のための犯行、もしくは自壊のための犯行というものもありうるから。
じゃあ悪意はどうか。悪意も、残念ながらと付け加えてもいいですが、謎の不可欠要素というわけじゃないでしょう。では、そこで悪意という軸を固定して、悪意が謎を生み出すということにしてはどうか。ということにしたいのですね?
というテーマの本が『依頼人は死んだ』なんだろうなと解釈しました。」
「悪意にも大小はあり、相手を殺害してもなお止まぬガチ殺意から、ほんの稚気レベルのものまで様々です。しかしながら、その悪意が大きいか小さいかは実のところどうでもよい。なんとなれば、無理解と愛情の混合物だって、それを受ける側にとってみればまごうことなき悪意として機能することだってあるのだから。まことに娑婆苦というものは度し難いですな、と思いました。まる。」
「 xx に言わせれば、知性と悪意と向上心がグランドスラムしたとき、そこに生まれるのは謎ではありません。狂人です。『依頼人は死んだ』は必ずしも狂人が無双するお話ばかりではなく、むしろこれも悪意、それも悪意、みんな悪意きっと悪意な"悪意のデパート"とでもいうべき様相を呈しています。覚悟のキマった狂人ばかり見ていると常識を忘れがちなので、たまには「こういうのもあるのか」と唸るのも楽しいものでござる。とか言いつつ『ミザリー』と『コレクター』を立て続けに読む日々。」
知性+悪意:トリックスター(謎=混乱型)
悪意+向上心:勝利至上主義者(謎=破壊型)
知性+向上心:科学万能主義者(謎=断絶型)
逆に善意と衝動と現状維持がグランドスラムした人間は何と呼ぶのが適当だろうか。ポジティブな平和主義者?「ケンカしちゃダメー!みんな仲良くしよ♡」とか言って問題の解決も図らずに無理やり落着させようとする、笑顔が脅迫な人。
amazonの紹介によると、<時はアメリカ開拓時代。あらゆる人種と言語が入り乱れ、荒野は暴力と野蛮と堕落に支配されていた。行くあてのない旅の末、少年は、以前より見知っていた「判事」と呼ばれる二メートル超の巨漢の誘いで、グラントン大尉率いるインディアン討伐隊に加わった。哲学、科学、外国語に精通する一方で、何の躊躇もなく罪なき人々を殺していくこの奇怪な判事との再会により、少年の運命は残酷の極みに呑み込まれるのだった——>という作品です。
何が言いたいかというとすごくイン殺さん好みの作品ではないかということです。
トラックバックさせていただきました。
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。