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2010-04-18

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  • 『世界樹の迷宮III』日記。日記ったら日記。
    • いいタイトルが思い浮かばなかったのでそのまんまです。
  • 予告なしにネタバレすることがあります。ご注意ください。
世界樹の迷宮III 星海の来訪者 特典 サウンドトラックCD付き

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記録

登場人物

フルオリ
ウォリアー。主人公。ギルド"三月獅子"に中途加入した駆け出し冒険者。調子者。元ネタは『へうげもの』の古田織部。
リキュウ
ファーマー。ギルド"三月獅子"の主催者。ギルド創立メンバー 3 名の筆頭。人当たりは良い。元ネタは『へうげもの』の宗匠こと千利休。
ムネノリ
シノビ。ギルド創立メンバーの一人。無口。元ネタは柳生宗矩
エチカ
モンク。フルオリたちより以前に"三月獅子"へ加入した雇われ冒険者。豪腕。元ネタは『罪と罰』のエチカ。
キタガ・ミミミ
ファランクス。中途加入者。元ネタは『極上!!めちゃモテ委員長』北神未海。
チャチャ
プリンセス。中途加入者。元ネタは『へうげもの』のお茶々こと淀君。

[]へうげ迷宮 第一話『気狂い虹(1)』 へうげ迷宮 第一話『気狂い虹(1)』 - イン殺 を含むブックマーク はてなブックマーク - へうげ迷宮 第一話『気狂い虹(1)』 - イン殺

(どうにもこの御仁、得体が知れぬ……)

フルオリは目の前の男を眺めつつ、首をひねる。
武張った鎧に身を包むむくつけき男たち。異彩を放つ奇妙な衣装の女たち。朝方の"羽ばたく蝶亭"に数多の冒険者がざわめく中、優男としか見えぬその男は、なお奇妙な存在感を放っているのだ。
男は若者と言ってよい年恰好である。美男と言ってよい容貌。穏やかな物腰。自らのギルドが置かれた状況を説明するその語り口によどみはなく、不都合なことも率直に述べるさまには好感が持てる。持てるのだが。

「私のギルド"三月獅子"の総勢は、皆様を加えてようやく七名に至ったところ。迷宮探索という悲願を果たすためには、いささか心もとない人数にございます。第一階層の探索をほぼ終え、これから第二階層へ踏み込まんとする今、皆様のお助けが必要なのです。至らぬギルドマスターなれど、どうかご助力のほどを」
「そんな、リキュウさま。わたしたちこそ駆け出しですわ。皆さんに鍛えていただいて、はやく一人前の冒険者にならなくては。こちらこそ、手ほどきをよろしくお願いします。もうビッシビシしごいてやってください、ですわ」

新人ファランクス、キタガ・ミミミの言葉に座がなごむ。つられてフルオリも微笑みつつ、目はひそかにギルドマスターを追っている。
…・・・隙がない。どうにも落ち着きすぎている。なにげなく立つその所作すら、周囲を静かに威圧するようである。

(この御仁、本当にファーマーか? なにやら熟達の剣士のごとき……)


フルオリはまだ素人のウォリアーである。素人であるがゆえ、先達に不当な引け目を覚えているのかもしれない。そう思い至り、フルオリはふっと肩の力を抜いた。リキュウと名乗るこの探索者、レベルで言えば 17 そこそこ、まだ殻の取れたヒヨコといった風情である。フルオリの経験もすぐに追いつく日が来よう。戦闘能力ではいずれウォリアーである己が勝るのだ。たかが一と月の先駆け、何するものぞ。

そうひとりごちて頭を振り、話に乗ろうと顔を上げたとき、フルオリは気づいた。リキュウが自分を見ていることに。

内心の葛藤を見透かすがごときその視線に、フルオリの肝は冷えた。腹の内側にじんわりと冷水が滴るような居心地の悪さ。フルオリはとっさに言葉を出すことが適わず、ただリキュウと視線を合わせ、その場に立ち尽くした。

「フルオリ様」

名を呼ばれ、なおフルオリの緊張は増す。

(な、何だというのだ……。己はまだ何もしておらぬ……、非難される筋はないはず……)

顔をひきつらすフルオリを見やり、そしてリキュウは、ゆったりと微笑んだ。

「こちらのエチカ殿は"三月獅子"にゲストとして参加していただいた方にございます。当面はフルオリ様、ミミミ様と並び、パーティの攻撃役を担っていただくことになりましょう」
「エチカです。よろしくお願いします」

己が内心を咎められたわけではなかった。そう安堵するフルオリは、反射的に愛想笑いを浮かべながら挨拶を返す。いやそのこちらこそ右も左も分からぬ若輩なれば、先達の方々には教わることばかりにございます。特に皆様は四名で第二階層を守る魔魚を討ち果たしたつわものぞろい。いやそれがしごとき駆け出しは腕っ節でも知恵でも及ぶところがございませぬハッハッハッハッハ。いやお恥ずかしきことなれば、経験を積んで一刻も早くお力になれるよう精進せねばなりませぬなハッハッハッハッハ。一気呵成に喋ってから、フルオリはふと、目の前の美人と、先ほどのリキュウの言葉の齟齬に気づく。

「おそれながら……、エチカ殿が攻撃と? モンクは回復の要となる職業と聞き及んでござる。前線に出るは我らの役目では?」
「フルオリ様。人は見かけによらぬものでございます。エチカ殿はこう見えて、魔魚を討ち果たすにあたってはメインアタッカーを務めていただいたほどのお方。私などよりよほど武に秀でた達人にございます。可愛らしき外見に惑わされぬことが肝要……」
「もう、リキュウさま……。ひとを鬼ババみたいに……」

笑いあう二人。追従笑いを返しつつ、フルオリはエチカを眺める。おさげの赤髪、細身の体。どう見ても武闘派とは思えぬ可憐さである。頬に張られた絆創膏のみが、わずかに戦いの傷跡を感じさせる。

(この女子がアタッカー……、本当に?)

「私はゲストですから、これからは正ギルドメンバーのフルオリ様がメインアタッカーですよ。頑張ってくださいね。じゃ、これ」

エチカは目を細めながら、フルオリに長物を差し出した。まだ傷跡も新しい一振りのライトメイスであった。

「あ、いや、せっかくでござるが、拙者は剣ウォリアー志望なれば……」
「いえフルオリ様。まずはライトメイスをお使いください」
「? リキュウ殿? それはどういう……」

問いかけるフルオリを手のひらで押しとどめるがごとき仕草を見せ、ギルドマスターは一段張りのある声で皆に告げる。

「当面は皆様の実力を磨きつつ、探索のための資金を用立てるために動くことといたします。お恥ずかしい話ですが、"三月獅子"は現在決して恵まれた台所事情とは申せませぬ。まずは今ある装備を使いまわすことになりましょう。皆様に最高級の武具を用意するまでには、幾多のクエストを乗り越えねばならぬとお考えください。いきおい探索は資金との戦いになる見込み……。敵に勝つだけが我らの仕事ではございまぬ。世界樹の迷宮で闘い続けること、それ即ち、採算を取りつつ生き延びることに他なりませぬ」

(む……、金か……)

シビアな現実を告げられ、荷を課せられたかのごとき重みをフルオリは覚える。確かに武具防具消耗品、アイテムの類は高価い。迷宮に立ち入り、数知れぬ魔物を倒して素材を集め、海都の商人に卸す一連の生業は、一人では到底続けられぬ危険で厳しく怖い汚れ仕事である。それがために冒険者はギルドを作り、互いに力を貸し合って迷宮に挑むのだ。アーモロードの武具店を訪ね、刀槍類の値段に驚倒して異国装束の店主をまじまじと眺めてしまったのはつい昨日のことである。目を皿にするフルオリに店主は容赦なく告げた。ヒヨコは殻が取れてから来るがよい、と。

「現在われわれのギルドは第二階層、海嶺之水林まで立ち入りを許されております。深層に住まうモンスターほど高価な素材となることは皆様も御存じでありましょう。我らは、第一、第二階層、それに海域の探索を行い、レベル上げと資金稼ぎに励むことといたします」

リキュウはメンバーを見渡し、一人のシノビと目線を交わす。

「海域の探索は既に、残り一人のギルドメンバーに任せてございます。新人の皆様は、まず迷宮に慣れていただくのがよろしいでしょう。そちらにおわすムネノリ様と、不肖私がサポートいたします。まずは軽いクエストをこなすといたしましょう……。主人、この依頼は?」

呼び止められた"羽ばたく蝶亭"の女主人は、アイ、と片言の返事を返して壁の依頼書を眺め、それから猛烈な勢いで体全体をこちらに振り向けた。

「ソノ依頼は先ほど、元老院から発令されたキンキュウの依頼デス! 受けてくださりマスナ!」

世界樹の迷宮・第一階層。本来は安全な低層階に、危険な魔物が現れたという。敵の正体は未知、だが複数。いつ迷宮を抜け、海都に現れぬとも限らぬという。猛獣が街中に入れば惨劇となるは火を見るより明らか、可及的速やかに討伐が必要だという。

「アナタ方にはいいウデダメシ……、ウデダメシになるヨ! ヨロシク頼むゾ! 海都ノ平和を守るタメ…。サァ、イザユケ! ボウケンシャ!」

(と申されても、それは経験を積んだ冒険者の話……。己のごとき新米が猛獣と闘うはまだ尚早よな……。ここはリキュウ殿ら古強者のお出ましを願うかっ)

請うような目でギルドマスターを見たフルオリは、リキュウの穏やかな笑みに気づいた。

「フルオリさま。ミミミさま。チャチャさま。私とムネノリさまがサポートいたします。この依頼、どうかお三方を中心にお進めください」
「な!?」

新米ウォリアーと、新米ファランクスと、新米プリンセスは、一様に絶句した。

「そ、それはいかなることぞ!!」
「ええー!! わ、わたしが……メイン?」
「今の話では、敵は正体不明の危険な魔物ではございませぬか!! 我らはまだ迷宮に入ったこともない素人!! それで未知の敵と戦えとは何たる言い草か!!」
「リキュウどの、わらわたちに死ねと申すか!?」

いきり立つフルオリ。どこかとぼけた驚き方のミミミ。今まで不貞腐れた態度で話を聞くのみだったが、このときとばかり食ってかかるチャチャ。怒りと戸惑いを露にする新人たちを、柔和な笑みが斬り捨てた。

「そう、死ねばよいのです」

(続く)

BoeqBoeq2010/04/27 00:41World War Z
ZはZomibieの頭文字!お勧めですよ。
正しい使われ方をする日本刀も出てきます!

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