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2017-08-14

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章(三池崇史) ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章(三池崇史) - イン殺 を含むブックマーク はてなブックマーク - ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章(三池崇史) - イン殺

  • おそらくこの作品は一定のジョジョ知識を持った上でベースからの差を求めている読者をメインターゲットとして作られています。未読の人への入門というポジションは狙っていない。なので、差異や改変、省略がどうしてもダメという人は避ければいいですし、そういうのが楽しめる方は楽しむといいんじゃないでしょうか。
    • ファントムブラッドの映画をリアルタイムで観た(id:xx-internet:20070304:p1)程度には酔狂ですが、スピードワゴンが出てこない第一部ほどの無茶はしておらず、むしろ話をまとめるために外せないところをちゃんと抜き出して、後に出てこなくてアクが強いアンジェロに山田孝之を当てて豪華な変態を見せるなど、省略や改変作り手の事情を覗かせつつ、無理にならない範囲で単独の作品に仕立てているという印象。原作ファンの一人として怒るような内容ではまるでないです。
    • ポルナレフも言っていたように言ってもわからねーヤツってのは言ってもわからねーですし、水辺に連れていっても水を飲まないロバは棒で殴って水に沈めろとイタリアでは言われてますので、たぶんこの文を読んだ人が考えを 180 °変えることはないでしょう。うまくいって 10 °くらい考え方がずれて観に行く人が増えてくれれば、筆者が続篇を観られる可能性が上がるので、そのような現世利益を期待してこれを記すことにします。以下はネタバレ。

原作から改変していた部分と、その理由をいくつか挙げていくと、


  • 広瀬康一くんが転校生。おそらく山岸由花子を相談係として配置することで、あの異常な執着を初手から展開させるため。
  • 引っ越してきたばかりという設定。部屋に荷物を配置することで『ピンクダークの少年』単行本とイラストボード?を見せるため。
  • ロケ地がスペインの海岸沿い。現在の仙台だと原作当時のイメージが出しづらいせいかも。正直、引きの映像で街全体を見ると、明らかに外国という違和感はあった。路地裏や公園はそれほど気にならない。
  • 東方良平と街のチンピラの絡み、あそことチンピラが後にアクア・ネックレスに乗っ取られて強盗を働き、良平が「あいつはそんなやつじゃないんだよ」と悩む下りは明確にオリジナル。今回のテーマは仗助が街を守ると決意するまでなので、その準備として良平と杜王町の結びつきの強さを押し出してきたと思われる。
    • 勤続記念の腕時計もそうやね。
  • アンジェロは原作よりもしっとりしてユーモアすら感じられる変態になっていた。これは役者が大きいかな。マナーを守らない人間にキレてイートしたドッグをスプラッシュするような瞬間湯沸かし器だったあのアンジェロが。
    • 父親へのコンプレックス持ちになっていたのは形兆との会食のためだけだよね。あそこで「親が憎くないか」と話題を振りたかったから。あの話題展開はやや強引で念能力者ならキーワードによる能力の発動を警戒するレベル。ただまあ、あのシーンで原作でもあまりない言葉通りのアクア・ネックレスが観られるからいいや。
  • 改変とはちょっと違うんだけどなんで承太郎さんの帽子と一体化した髪型を CG じゃなくて物理で再現したの。三条陸脚本だったら満月の夜にはあの後頭部の髪の毛が承太郎さんの意識を乗っ取って街のスタンド使いを皆殺しにするレベルですよ。目がそっちに持ってかれて承太郎さんの言ってることが全然入ってこねえ。
  • 話を戻す。承太郎さん、仗助が携帯を持っている。ここ意外と重要。 2000 年代をまたぐ作品をリメイクするときはここが致命的な整合性の瑕疵になることがある。劇中でも承太郎さんからの緊急電話に仗助が気づかないシーンがありましたね。
    • サーフェスはたぶん続篇でも登場しないと思われるが、携帯があるとホテルを出る前後のすれ違いがそもそも成り立たなくなるので、エピソードとしても採用しづらい。
  • 最後に矢をチリ・ペッパーが奪うのではなく、シアーハートアタックが形兆ごとぶっ飛ばして終わり。おそらくこれはチリ・ペッパーを出せない理由があってこうなったのだと思う。後述。
  • 原作通りであっても、見せる場が変わることで意味が変わることだってある。原作はなんたってこの前に三十巻弱の歴史があ長期連載であるので、ジョースター家の説明は必要ないし承太郎さんが誰であるかもみな知っている。知っていた。今回の承太郎さんは横から出てきてスタンドの説明をチラッとする部外者だ。その点はやはり「みな承太郎さんを知っている」という前提には依存していると思う。この映画が既読者に最適化されていると思うのはそこ。常識的な理不尽に対しての説明はあまりない。
    • 今さらクドクド説明されても大半の人には入っていかないからね。それでいいんじゃないでしょうか。
  • 友人と二人で観終わったあとにずっと話していたのは、この第一章をあと何作で完結させるつもりなのか、そこにどのエピソードを入れていくのかということ。それを想定すると、なぜ康一くんが引っ越してきて本棚に『ピンクダークの少年』を並べていたのか、なぜ山岸由花子がいきなり隣席のクラスメートで好感度マックスなのか、なぜ最後に虹村形兆をブッ殺したのがレッド・ホット・チリ・ペッパーではなくシアーハートアタックだったのかという点は想像でつないでいけるんじゃないでしょうか。
    • 仮に三章までで四部のラストまで行くとしましょう。シアーハートアタックを出した以上、吉良吉影は確実に出て川尻浩作として倒されるとする。川尻浩作を倒すために何が必要か。覚醒した川尻早人と猫草が必要だ。当然川尻しのぶも絡んでくる。川尻家を出すために何が必要か。吉良吉影が一度倒され、シンデレラで外見を変えて逃亡する必要がある。シンデレラのために辻彩と山岸由花子が要る。承太郎さんと康一くんとエコーズ act.3 とシアーハートアタックも要る。川尻浩作を追うために岸辺露伴が入りますか? 岸辺露伴を入れて二章三章で完結しますか? エコーズ act.2 を覚醒させるために山岸由花子の監禁エピソードは外せませんか? エコーズ act.1 を覚醒させるために小林玉美を出しますか? チリ・ペッパーを出すためにジョースターさんを杜王町へ連れてきますか? トラサルディーで食事しますか? 鉄塔の上で魚を焼きますか? それともロープウェイの上でティラミス作りますか? さながら依存関係が果てしないプログラムモジュールのように、ある人物を入れると外せないしがらみが石の下からミミズのように這い出てくる。引力すなわちラブである。
        • 続篇を作るなら伏線の張り方すらもきっちり考えて一章の時点から手を打っておかないと、四部は到底まとまる分量じゃないんですよね。一応の結論としては、三章で完結は無理。二章の最初でトラサルディーで何事もなく食事して、山岸由花子に拉致られて、岸辺露伴に軟禁されて、オーソン横の小道で杉本鈴美に会うのが精いっぱいじゃないかな。主語がほとんど康一くんなので神木隆之介仕事しまくり。三章で吉良吉影が逃げて、四章で完結。最大限にうまく運んだとして、あと三年で完結できるかな。
          • 辻彩のエピソードは康一くんと由花子をつなぐ上では重要だけど、吉良吉影戦で由花子が戦力にならないので、正直二章以降は由花子も彩も削りたい。
  • 失礼な言い方になりますが、三池崇史は変なクリエイティビティを発揮する人ではないので、例えばオリジナルスタンド使いを混ぜてくるとか、そういったずらし方はしてこないとは思ってました。割と長い原作からひとまとめにできるエピソードを切り出して、ちゃんと観られる作品にしたのは良心的な仕事であると思います。ジョジョ愛がない分、続編でも切るべきところを切り、守るべきところを守って冷徹に進めてくれるでしょう。中華の料理人が鯉を生きたまま丸揚げにするために内臓を脱脂綿でくるむみてーになッ!
    • 三池崇史だから信用できるとか、三池崇史だから信用できないとか、そういう判断はしづらい人だと思う。覚えている中でもとてもよい(『十三人の刺客』)、なかなかよい(『ジョジョ』『逆転裁判』)、わろし(『極道大戦争』)と上から下までひととおり思いつく。あまり作品をけなすことはしたくないものですが、温厚なそれがしも『極道大戦争』(2015) については数年に一度のおにはずれだったと断言してはばかりませんよ。
      • 皆さん『おんな城主直虎』観てますか。あれの寺にやたらマッチョで弓が得意な傑山というイケメン僧侶がいるでしょう。モンハンで言うと火事場力 +2 溜め短縮くらい発動させてそうなアレ。あの市原隼人がヤクザスーツで吸血鬼になる映画。それだけ聞くと面白そうに感じられるところが危険だ。
        • 脇を固める俳優も、高島礼子、ピエール瀧、ヤクザの親分(吸血鬼)にリリー・フランキーなど、それなりに豪華だ。序盤で描かれるコンビニすら入っていない昔ながらの街の、モツ煮だのチューハイだのが破壊された価格で書かれている張り紙のしょぼくれつつも焼けつくように臭う生活感もすばらしかった。そう書くと大変面白そうなところが剣呑だ。では何が悪かったかって? オチ。
          • 映画の公開時期と吉田鋼太郎が目立ちはじめた時期が近く、パンフレットを買わずに帰ってきたそれがしは、のちにリリー・フランキーと思って観ていたあの親分が実は吉田鋼太郎ではなかったかと漠然とした不安に駆られたりするのだが、おれのことはどうだっていい世界さ。
  • あとは役者の違和感についての話でもするかね。そりゃ現実の人間を役にあてがっているわけですから、違和感がない方がおかしかろう。スト 2 映画のザンギエフみたいなのは数十年に一度レベルの奇跡ですよ。
    • 仗助。顔のパーツで見るとそれほど似てないんだけど、髪型がすばらしすぎてついそっちに目を取られてしまう。
    • 康一くん。仗助と並ぶと意外とでかい。しかし原作の最初ではこのくらいの頭身なので、あとは VFX で下半身を短くするしかない。
    • 億泰。個人的には仮面ライダードライブの息子という認識の真剣佑さん、気づいたら割と売れててあちこちに出てるのね。割とイケメンなのに、髪型と眉であそこまでただのチンピラになるのは見事だった。億泰は最終決戦まで必要なキャラなので、上二人と合わせて頑張っていただきたい。予想通りチリ・ペッパーが削られたらトラサルディーでのリアクション以外見せ場がなくなるけど。
    • 形兆。髪型に目が行って他のことがあまり残っていない。
    • 承太郎さん。伊勢谷友介は個人的には『花燃ゆ』の吉田松陰なんですが、あの快活テロリストと比べるとだいぶ抑制的な演技をしてましたね。承太郎さんのおいしいところは冷静な判断力よりもむしろときどき見せるケンシロウなみのド S っぷりなので、先々吉良吉影の顔面を趣味の悪い形にするときに頑張っていただきたい。前述のように後ろ頭が気になって言ってることが入ってこないタイミング多し。
  • アンジェロ。カンヌ頑張ってください。

 2017/08/18 09:29しかしながら四部屈指の狂ったエピソードである鉄塔男の回は実写で見たかったというのもまた人情です。確かに事情(予算とか予算とかあと予算とか)はなんとなく察せるのであんまりわがままも言えませんが

k2017/08/22 02:49アンジェロに父のエピソードを入れたことこそが今作のテーマなのではないでしょうか?
アンジェロ:父への恨み(最初の犯行)
形兆:父へのやるせなさ(行動の動機)
承太郎:隠し子を持っていた父とのゴタゴタ(物語の起点)
仗助:父親代わりの祖父への誓い(ストーリーの原動力)
いずれも、一種呪いのような血のつながりを通して作品世界とつながっています。
この父親のエピソードがあるからこそ、仗助が街を護るという決意にもつながりますし、美しいものも醜いものもある街という有機体の空恐ろしさを生み出す効果が出ていると思うのです。

ただでさえ複数のエピソードの集合でとっちらかった印象を与えかねない第4部を映像化している上に、これまでの物語がろくすっぽ説明されないなかで、この父親と家族のエピソードこそがこの映画を束ねる要素になっていると思うのです。

隈界隈界2017/08/29 00:48今週のソーマのネタバレ

以前xxさんがおっしゃっていたコピー能力者の典型的敗因、「コピーしきれてない」をやってしまいましたね

 2017/09/18 18:11イン殺さんはハイアンドローはご覧になりましたか? 少年チャンピオンの世界観をすごい資金力とLDHのダンサー達によるアクションで実写化してるので是非ご覧になっていただければと思います。

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